マダム大学院生のグローバルな日々

無閑マダムの博士への道

「さよならだけが人生だ」

4月になり、お世話になった博士課程の事務の方々2人、教授のお膝元の事務の方1人が異動になり、お礼を言う機会もなく、お別れすることになってしまいました。おそらくこれからお目にかかる機会はまずないと思います。翻訳チェックでお世話になっている昔からの知人もお仕事を一緒にさせていただくようになってからわずか3カ月で異動になり、担当者が変わりました。この方には次にお会いするのはまた10年くらいたってしまうかもしれませんが、お会いする機会はありますし、消息はわかる状況にあります。

中国の于 武陵(う ぶりょう)という詩人が詠んだ次のような詩があります。書き下し文は右にあります。

勘酒     酒を勧む

勧君金屈巵  君に勧む金屈巵(きんくつし)
満酌不須辞  満酌辞するを須(もち)いず
花發多風雨  花發(ひら)けば風雨多く
人生足別離  人生別離足る

これを井伏鱒二が日本語に訳した「元祖超訳」が次の詩です。(昔、シドニー・シェリダンの小説の超訳、というのがはやりました。)歴史に残る名訳ですね。

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ

于 武陵さんはお墓の中でぱっちり目を覚ましたに違いありません。

「花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」の2行が特に有名で、今、チェックしている英訳の中で、ある映画のせりふで男性が恋人との会話の中で引用する場面があります。

その英訳は外国人の方がされているのですが、引用ということがわからず、「いまこのひとときを楽しむべきだ」という内容しか訳されていません。

"Flowers in bloom, rainstorm will blow them away. We always have to say goodbye."と変えてみました。
于 武陵さんはまたもや目をぱちくりしているに違いありません。あるいは井伏鱒二さんも。

この詩のように送別会で酒を酌み交わし、別れを惜しんだ数々の職場の数々の同僚のうち、かなりの人数の方々といまだにつきあいがあるのは財産だと思っています。

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Author:とらいふる
長~い職務経験をへて、現在、大学院博士課程に在籍中 (教育学)。

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