マダム大学院生のグローバルな日々

無閑マダムの博士への道

私の文章修業3―幻のタイプライター

特殊なケースだと思いますが、私は学部の卒論、修士の修士論文ともに英語で書いています。なぜ特殊かと言うと大学は日本の大学で、ほかの学部、学科の学生はすべて日本語で論文を書いているのにもかかわらず、私の学科だけが英語で書くことが義務付けられていました。修士はアメリカの大学なのでそれは当然です。

当時はパソコンどころかワープロさえなく、日本語の論文は原稿用紙に手書きと聞いたように思いますが、英語の場合はタイプライターでした。私はなぜか高校時代からタイプライターを持っていました。高校でタイピングの講習が希望者対象に放課後あったのですが、補習費が高く「タイプなんて習わなくても打てるよ」と家でタイプライターを買ってもらえました。練習用テープにはTokyo T,Shanghai S、などとリズミカルに音声が入っており、それに従って練習するとすぐに打てるようになりました。そのテープは出版社時代の後輩にあげてしまいました。

私が持っていたのはイタリアのメーカー、オリベッティの手動タイプライターでした。非常に打つのに時間がかかるだけでなく、修正テープで修正すると印字部分が真っ白になったものです。当時つきあっていたボーイフレンドがなぜか電動タイプライターを持っており、彼は学部学科が違い、英語で書く必要がなかったのでそれを借り、卒論を仕上げました。電動だと音は響きますが、パソコンとそれほど変わりないスピードで打てます。修正すると真っ白になることに変わりはなく、印字部分が真っ白になったタイプライターをちゃっかりと返したのを思い出し、本当にその人にはお世話になったのにいろいろと申し訳ないことをしたと痛恨の念があります。

タイプライターと言えば、ちょっと怖い話があります。会社で使っていた電動タイプライターが突然動かなくなったので、他の方に聞くと「あの棚にのっているのを使ってね。」と言われ別のを使い始めました。まもなく、動かなくなったタイプライターの以前の使用者であった昔の社員の方が亡くなったという連絡が入りました。私が使っていたタイプライターの故障を知っていた周りの人は「とらいふるさんの使ってたタイプライターって○○さんのだったよね?」と聞いて「やっぱり...」「こういうことってあるんですね。」という話になりました。

博士論文を書くにはまだ間がありますが、少しずつ論文を書いていかないといけません。ドクター論文の段階で初めて日本語で書きます。私は帰国子女でもなく、大人になってから海外はあちこち行っているものの2カ月以上住んだことはありません。それにもかかわらず、キザに聞こえるかもしれませんが、「論文」的なものを書こうとすると、ぱっと浮かぶタイトルや説明などは英語で先に浮かびます。それを学術的な日本語で書くとどうなるか、と考えると浮かばず、辞書を引いたりしています。たとえば、昨日、unconventional classroomという表現が浮かびましたが、unconventionalって堅い日本語だとなんて言えばよいのか悩みました。簡単な電子辞書だと「しきたりに従わない」「実に変な」などという訳しか出てきません。結局は「通常とは異なる」としてみました。

論文の文章だけでなく、参考文献の書き方や、独特な用語などを日本語の文献で読んでいてもこれは○○のことか、と英語の用語に置き換えた方が理解しやすかったりします。たとえば、research questionのことが「研究設問」となっていたり、です。数日前に、昨年仕上げた翻訳原稿の参考文献の書き方を直してほしいという連絡がありました。引用されているもの、たとえば(Scott, 1999)というのを日本語訳なのですべて(スコット、1999)などとしていたのです。日本語の論文では外国の参考文献は英語のままでよいということを知りませんでした。教授から聞いていましたが、その翻訳が終わった後でした。

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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

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Author:とらいふる
長~い職務経験をへて、現在、大学院博士課程に在籍中 (教育学)。

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