マダム大学院生のグローバルな日々

無閑マダムの博士への道

非色(2)人種の序列

戦争直後の70年前、アメリカ国内での人種の序列など、日本人にはわかるはずもないでしょう。

この小説にでてくる日本人女性の配偶者はすべて、いわゆるWASPの白人から見たら、「低い地位」におかれる人種。イタリア系でさえも。そして、最下層はプエルトリコだったのです。老舗の和菓子屋の二十歳前後のお嬢様はそうとは知らずに渡米し、親戚からも羨ましがられる、ということになりました。ヒロインの夫は妻の日本人の友人の状況を聞くと「日本に帰国するよう説得したほうがいい」とまで言うのですが。

ヒロイン自身は日本国内で通訳の仕事に応募するも、「黒人訛り」を理由に採用されず、WASPの白人の家のメイドとなります。渡米後は日本食レストランのウェイトレス、妊娠中は日本人経営者宅のメイド。英語が上達するにつれ、もともと女学校出のヒロイン、仕事が飽き足らなくなるのです。さらにともにハーレムで暮らす夫の知的水準が思ったより高くないことも発見。いい人なのですが。

今度は大学教授のご主人と国連勤務の奥さまの家庭の乳児保育を含んだメイドの仕事に就きます。奥さまは日本人、ご主人はユダヤ系。こんな家庭でも、WASPの看護師から人種差別的な発言がされていることがわかります。

その家のパーティで、今度は同じ黒人の中の序列に気づきます。奴隷の先祖を持つアフリカ系と、元々アフリカの国々の出身でアメリカに滞在している人。後者は、国へ帰れば大臣など政府高官になるようなひとたちです。

こうした差別や序列に気づいたヒロインは、「自分はもう黒人だ」という新たな意識に目覚め、「黒人」としてたくましく生きていこうとする、というところで物語は終わっています。

40年以上前とは思えない社会派小説でした。ドラマ化されたら面白いと思います。
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テーマ:時代小説 - ジャンル:小説・文学

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この秋で大学院博士課程を満期退学。
もう院生ではないので
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