マダム大学院生のグローバルな日々

無閑マダムの博士への道

メリル・ストリープの映画と料理関連キャリア

メリル・ストリープの映画はおもなもの、とされているだけで40本ほどあり、ざっと数えてみたら私が見たのはそのうち思い出せるものだけでも15本はありました。彼女はごく普通の主婦からかなり普通ではない役(「シー・デビル」や「永遠に美しく」など)までもごく自然にこなしています。昨年末に「ジュリー&ジュリア」ではカリスマ料理人、先週封切られた「恋するベーカリー」では一流ベーカリー経営者ということで料理関連のキャリアを持った主人公を演じたものが、印象強いです。「恋するベーカリー」はまだ見ていませんが、今度は地元でも公開されるので地元でゆったり見たいと思います。

おもな映画、の中には入っていませんでしたが私が思い出すのは「心みだれて」(1986年)という映画です。メリル・ストリープは料理評論家を演じています。ジャック・ニコルソン演じるプレイボーイのコラムニストと再婚するところから物語は始まります。二人が初めて一緒に夜中の4時に食べたのは料理評論家の彼女があり合わせの材料で手早く作った「スパゲッティ・カルボナーラ」。そのあと結婚する二人の披露宴のケーキや料理などがとてもおしゃれでした。その後の結婚生活を経て、別れる直前のパーティでは手作りの生クリームたっぷりのキーライム・パイを夫の顔に投げつけるという場面もありました。

ケニアを舞台にした「愛と悲しみの果て」(1985年)では料理関連の職業ではありませんが、「料理」に関して非常に印象的なエピソードが出てきます。初恋に敗れ、初恋の相手の双子の兄弟(スウェーデンの貴族)と結婚してケニアにやってきたデンマーク人のヒロイン(メリル・ストリープの役です)が不幸な結婚生活を経てロバート・レッドフォード扮する冒険家と恋に落ちます。映画はこの恋愛ものが中心ですが、アイザック・ディネーセン原作の「アフリカの日々」ではケニアの人々や同じ時期にケニアに来た弟などとのサファリや日常生活をつづった実話です。

カレン(ヒロインの名)はある日、足が不自由な少年カマンテを見かけて、治療を受けさせ、自宅まで連れ帰り、使用人にします。最初は給仕、しだいに料理を仕込んで、腕の良い料理人へと訓練していきます。ケニア滞在約20年で、カレンは事業に失敗し、デンマークへ帰国することになります。映画では帰国を決意したあと、恋人がなくなりますが、原作では恋人の死後、帰国を決意しています。調度品をすべて売り、使用人もすべて解雇し、帰国することになるのですが、カマンテは一緒に連れて行ってほしいと懇願します。カレンは「連れてはいけない」と拒否します。そこでカマンテが「これからあなたが行くところでは料理は必要ないのですか?」というシーンが記憶に残っています。

原作や原作関連本を読むと、このカマンテさんはその後、料理人としての腕を振るう道を断たれてしまいます。今なら、腕の良い料理人を自国へ連れ帰ることは可能でしょうが、1920年代では難しかったのでしょう。それでも、不自由な足を治療してもらい、料理の才能を女主人に開花させてもらったカマンテさんはそれだけでも幸せだったかもしれません。ナイロビの書店で買った資料には老人となったカマンテさんがほほ笑む写真が載っていました。

そういえばナイロビ郊外のカレン・ブリクセン(アイザック・ディネーセンの本名)の博物館にはよく行きました。その周辺は軽井沢のような高級住宅地でこの周辺の乗馬クラブで馬に乗ったり、イギリス人が時々焼いておいてある、おいしいアップルパイを買いにショッピングセンターに行ったりしたものです。「カレン」の名は地名になっており、カレン・ショッピングセンターの「ホースマン」というレストランにもよく行きました。

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テーマ:映画関連ネタ - ジャンル:映画

*** COMMENT ***

No title

映画の「Out of Africa」も、ディネーセンの原作もとても好きでした。私も、カマンテの素朴な問いかけがすごく印象に残っていました。
カレンと、使用人たちの付き合い方は、現在にも通じるものがあると思います。雇用者と被雇用者という関わり、異文化の関わり、人間的な心の通い合い。カレンの、アフリカの大地への思い。そういうのがとてもまっすぐに描かれていた映画のように思いました。

老後までもしカマンテが幸せに暮らせたのだとしたら、それは本当に嬉しい話ですね。彼のその後の資料があるなんて知りませんでした。ご紹介くださってありがとうございます。

No title

いつもお読みくださってありがとうございます。カマンテに関する本などをブログに載せますのでご覧になってください。日本語訳の方は絶版になったようですが、英語版はまだあるようです。

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この秋で大学院博士課程を満期退学。
もう院生ではないので
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