マダム大学院生のグローバルな日々

無閑マダムの博士への道

Politically Correctと「夫」の呼称

80年代の終わりころに翻訳学校のバベルが主催した「ハワイ大学で学ぶビジネス英語」というスタディツアーに参加しました。その時に当時は出始めのPCの概念を知りました。PCは personal computerではなく politically correctの方です。たとえば、policemanが police officerになり、 handicappedが physically challengedと言い換えるということです。性差別、人種差別、障害者差別、政治見解差別に対して公平さを保つ言葉と定義されています。議長のchairmanがchairになるのは不思議でした。ちょっと、皮肉っぽく、ジョークとして使われていることもあります。芸術センスがないというのをartistically challengedなど。

昨日で日本現代史の英訳チェックが完了しましたが、PCについて考えることがありました。日本のPCでは「看護婦」が「看護師」「保母」が「保育士」と呼称が変わりましたが、ある日本映画のセリフで同一人物に対して「看護婦」と「看護師」の2つが使われていた日本語の記載に対して「看護婦」はnurse,「看護師」はmale nurseという英訳が付けられていたので、日本語を「看護師」、英語をnurseに統一させてもらいました。

「人造の」がman-madeになっていたのでartificialするとか、在日朝鮮人の方の故国がfatherlandになっていたので、motherlandに変えたりとかいろいろありました。motherを選ぶのは逆差別という声もありそうですが、fatherlandはドイツで使われている言葉で、motherlandが正式だそうです。

また、別の映画のクリップで、瀕死の男性の妻が病院にやってくる場面で、病院の職員らしき人が、「奥さんがきました」と知らせます。奥さんは夫にすがり、「お父さん!お父さん!」と呼びかけます。その場面には何と"Dad!Dad!"という訳が付けられていました。

大学時代に読んだ、言語学者の鈴木孝夫さんの「言語と文化」という岩波新書で、日本語の社会言語学における家族の呼称のなかでこのことが触れられています。妻から夫に対して「お父さん」とは子どもから見たお父さんであって、妻である自分のお父さんではないです。また、他人に対する呼びかけで、「そこのお兄さん、お姉さん」とか「ちょっと、おばさん」「おじさん、それひとつください。」など家族関係、親戚関係にない他人にも家族の用語で呼びかけるのはあまり例のない文化であると触れられていました。

夫のことを「主人」というのは私は妙な気がして使っていません。(私は召使ではない)ただ、「うちの夫が」と言う方に対して、その方の配偶者の方を昔から知っていれば○○さん、と名字で呼べますが、目上の知人の方に「夫が」と言われると、「ご主人」と言っていいものか悩みました。それで苦肉の策として「おうちの方」などと言ったりもしましたが「おうちの方」が大勢いらしたら混乱しますね。

英訳をされる外国人は夫の呼称として「お父さん」「主人」「宅」などに対して、Dad, master, homeなどと訳していたら大変なことです。


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Author:とらいふる
長~い職務経験をへて、現在、大学院博士課程に在籍中 (教育学)。

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